光塾の指導ノート(大学受験勉強法)
こちらのサイトでは、一本の筋の通った「学習理論」について説明することを目的としています。 一方、twitterでは、「ヒント」について紹介しています。 大学受験のヒント https://twitter.com/hikari_juku
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英単語学習のあり方 決定版(理論編)
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英単語の覚え方について記述します。

0 現状分析
 
 みなさんはどのように英単語を覚えているでしょうか?
次のような覚え方が主流ではないかと想像します。

・ひたすらノートに書く
・ひたすら音読する
・(赤シートなどで隠して)単語帳を見る


 さて、これらの効果はいかがでしょうか?
おそらくノートに書く、音読するという手法をとった人は、定着率はよいが時間がかかるという結果になるでしょう。
一方、単語を見るという手法を採用すれば、時間はかからないが定着率は低い、という結果となることでしょう。



1 問題提起

 それでは、どのような学習法が、最も時間をかけず定着率がよい、すなわちコストパフォーマンスがよい学習法なのでしょうか?
それを考える上で、従来の単語学習法になかったであろう前提を確認したいと思います。


1)単語学習は短期間の学習で多くのリターンを得られるものではない。
2)単語学習が成績向上に与える役割は意外に少ない。
3)受験生は単語学習に多くの時間を割くべきではない。
4)音声から単語を記憶することが重要である。



 1)単語学習は短期間の学習で多くのリターンを得られるものではない。

 単語学習が実を結ぶのは、おおよそ単語帳を1冊完成させた頃です。というのも、例えば単語帳の100語を新しく覚えたからといって、そのうちの何語が将来読む長文や文法問題に出現するのでしょうか?1冊の単語帳に含まれる1500語なら1500語を覚えきって初めて、単語帳で覚えた単語、が見えるようになってきます。
 以上のことから、単語学習は長期的な視野で取り組むべきものであり、1冊を終えて初めてその学習の効果が出始めるということが明らかとなります。


 2)単語学習が成績向上に与える役割は意外に少ない

 また、多くの文法問題は単語の意味は問題とはなりません。文法問題はまさに文法事項が問われるからです。基本的には構文が正しくとれ、文法のポイントさえ見抜ければ正確に解くことができます。
 さらに長文中で正しく日本語訳がわかっていなければならない単語は非常に少ない。というのも、長文は意味をもった文の集まりです。揺れ動く単語の意味は、文脈という糸に引っ張られひとつに決まるものです。
中学履修単語や高校基礎単語のような知っていることが前提となる単語なら別ですが、それ以上の学習になると、単語学習自体が成績を著しく向上させるものではないことがわかります。



 3)受験生は単語学習に多くの時間を割くべきではない。

 これが語られなかった最大のポイントです。受験生は英語学習というとすぐに「単語と文法」と言い始める。しかしながら、上記のように単語学習は少しの間取り組んでもリターンは非常に少ない。一日に2時間も3時間も単語学習ができるような受験生は存在しない、と断言します。つまり、それ以外にリターンを生む学習があるはずだ、ということです。
 英語であれば、例えば文法問題は解けば解いた分だけすぐに力になります。入試で問われる文法ポイントはせいぜい200-300程度。今ひとつの文法ポイントを正しく記憶したとして、1/200を終えたことになります。一方単語はどうだったか。分母が圧倒的に違うのです。
 英語以外の科目はどうでしょうか?英単語に2時間も割くよりは他科目を学習したほうが遥かによい場合が多いでしょう。古典文法、数学の基本問題等はリターンが大きい。苦手科目から逃避する手段として単語が利用されている場合は少なくないように思います。
 特に、書く学習を行う人は単語に時間をかけすぎる傾向があります。ノートの1列にせっせと単語を書いていく。一概に悪い方法とは言えないのですが(詳しくは後述)、他の学習とのバランスを考えて単語学習を行う必要があります。


 4)音声から単語を記憶することが重要である。

 単語を見るだけで学習し、発音を気に止めない人もいるでしょう。このような学習法は次のような点で改めるべきです。
 単に、センター第一問に代表されるような発音問題が解けない、ということを言っているのではありません。もちろん、単語を音声から学ぶことでセンター第一問は特別の対策をしなくても満点がとれるようにはなりますが、音声から学ぶことの恩恵はこれだけではありません。
 我々は、入試本番でどのようにして単語の意味を想起するのでしょうか?例えば次のような例を考えてみます。


Scientific advances and ingenuity are giving hope to some that they will be able to put off their own ends...


 入試本番で以上のような文章が出題されたとしましょう。これをみなさんは頭の中で音読するはずです。
「サイエンティフィック アドバンシィズ アンド インジェニューエティ…」と頭の中で発音するわけですが、ここに意味想起のプロセスがあります。

つまり我々は、


文字情報→意味


というプロセスでは不十分で、


文字情報→音声情報→意味 


というプロセスを踏んで、文字から意味を想起しているのです。意味を想起するまでに、音声情報を挟むことになります。

 とすると、文字→意味だけで覚えている人は入試本番で次のような状態になりやすい。

「ingenuity、インジェニューエティ、インジェニューエティ、えっと…見たことはあるんだけど…なんだったかな…?」

見たことはあるけど、思い出せない。このような症状の受験生は多いはずです。一方、音声情報を噛ませて単語の意味を記憶している人は、頭の中で音読した瞬間に、意味が想起できるようになるのです。

「ingenuity、インジェニューイティ工夫・創造性!」といった具合です。音声と意味が連結しているため、想起が容易くまた瞬間的に思い出すことができるのです。

 最近、市場に出回る単語帳はほとんどがCD付きとなりました。しかしながら、CDをどうやって、何のために、利用すればよいのかわからない受験生は多い。それは受験生が悪いのではない、と僕は思います。こうしてCDを利用する理由と方法について語られることが従来なかったからです。それらがなければ、CDは部屋の片隅においやり単語帳とにらめっこするだけの学習になるのは、僕は仕方がないことだった、と思います。
 CD付きの単語帳を販売する人間、ないしそれを教材として生徒に与える教師は、CD利用のWhyとHowを明確に示す責任があるでしょう。「CD付きが流行りだから」「なんとなく付いていたほうがいいから」は理由になりません。「生きた英語を学ぶには云々」というのならばHowを生徒に明確に示す必要があります。

 彼らの代わりに、僕がここで答えることとします。

音声学習によって得られる単語と結びついた音声情報は、単語の意味を想起するための重要なプロセスの一つを担っているから。媒介された音声情報は、試験本番での想起を容易にし、「見たことがあるのに思い出せない」というありがちな症状に対する最善の薬となる。

これがWhyに対する答えです。




 では、以上1)~4)を踏まえた上で、単語学習の方法、すなわちHowについて考えてみましょう。
長くなったので稿を改めて。早く続きが読みたいよ、という方は下の拍手やTwitterなどで教えてください。なるべく更新速度を高められるよう、努力します。

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英語学習のStep  2段目まで(高校英文法基礎編)
以下の記述は河合記述模試で偏差値60未満の方向けのものです。

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階段を昇る~英語学習のStep~

1 中学学習範囲の英単語、英文法を押さえる。
2 中学学習内容の確認をしつつ、高校英文法の基礎を学ぶ。
3 2で学んだ基礎に基づき、典型的な英文法問題を利用して「解くための英文法」を身につける。
4 「解くための英文法」を「読むための英文法」に昇華する。
5 簡単な英文を読み込み、2~4を有機的に関連付ける。
6 傾向対策へ。


教材の選定について
以下では僕が授業で利用しているものを掲載していますが、目的さえ果たせれば何を利用しても構いません。
もしすでに利用しているものがあり、極端に簡単、ないしは難しいものでなければそれを利用してください。
現在目的に適合する教材がない、または自分の持っている教材と比較する力に自信がない場合、下記の教材を利用すれば外れることはありません。
下記の教材はその程度の目安だと思ってください。


スタートラインの決定と到達目標
Step5までの学習で、センター8割は安定して取れるようになります。
逆に言うと、センター8割が安定してとれないうちはここから始めるべきでしょう。
センターの長文問題は配点が高く、運がよければ8割程度とれてしまいます。
厳しく自分の実力を判定し、スタートラインを決定しましょう。


ロッククライミングを防ぐ
センター対策や二次対策(和訳、英作文、要約問題、リスニング)等はStep5を終えてからでないと十分な効果が得られません。
ひとまずはStep5まで昇りきりましょう。


単語について
中学校段階でつまずいた人は『中学英単語ターゲット1800―高校入試でる順』を一気に見直します。
それ以外の人は、『システム英単語Basic』から始めればよいでしょう。
単語の覚え方については、別に記事を書きます。
今すぐ単語の勉強を始めたいという方は、お手数ですがTwitterに情報を書いていますのでそちらを参考にしてください。


熟語について
熟語帳を利用した熟語の学習もまだ必要ありません。
上記単語教材と、主にStep3の学習でひとまずはStep5まで昇れます。



1 中学学習範囲の英単語、英文法を押さえる。

使用教材
くわしい英語 中学1年 新装(移行措置対応)[版] (シグマベスト)
くわしい英語 中学2年 新装(移行措置対応)[版] (シグマベスト)
くわしい英語 中学3年 新装(移行措置対応)[版] (シグマベスト)

上記3冊を利用します。

中学段階の学習は、知っているか知らないかの2択です。
まずはすべてを知ることから。
そして、知ることができたなら、反応速度を徹底的に高めます。

具体的なやり方は以下のとおり。
間違えた問題と一瞬でも悩んだ問題をチェックしながら、全問正解できるまで繰り返し解きましょう。
その際、知らなかった単語や文法事項、時間のかかった問題は必ずノートにまとめておくこと。
そのノートに書かれたことのすべてが、まさにあなたの高校学習でのつまずきの原因です。

毎日前日までの復習を行います。
つまずきをまとめたノートをすべて記憶してから、もう一度反射神経で解けなかった問題を解き直します。

復習をしながら進め、1冊が終わったらもう一度チェックをした問題を解き直します。
一回目につまずいた問題が、反射神経で解けるようになるまで繰り返しましょう。


中1→中2→中3の順に上記の通り学習をしてください。

この段階から始める人は、本当に学習が辛く感じることでしょう。
しかし、ここさえ突破できれば高校の学習は驚くほど簡単に理解できるようになります。頑張ってください。



すべての問題が悩まず反射神経で解けるようになったら、次のステップへ。



2 中学学習内容の確認をしつつ、高校英文法の基礎を学ぶ。

目的
1 中学学習内容を確認する
2 高校英文法の基礎を学びつつ、全体像を把握する。
(3 英文法の分野ごとの関連を明確に理解する)

※3は先生や講師がいる場合のみです。自習の場合はStep3以降の課題となります。


使用教材
総合英語Forest 6th edition
超基礎がため わかる!英文法 (STEP BY STEP)


学習方法(不定詞を例に)

新規の学習

1 フォレストの不定詞に関する章のPart1を2回読む。
・その際、英文法のイメージを膨らませること。
・理解しづらい部分は図解を行うこと。

2 『基礎がため』の不定詞部分を解く。
・問題文は必ずノートに書くこと
・正解/不正解に囚われず、『フォレスト』のPart1の内容を具体的な問題とリンクさせることを心がける。
 特にこの意識が重要です。
 これができるかどうかで、一問一答的な学習になるか、土台を固めた磐石な学習になるかが決まります。
・1問毎に答え合わせを行う。
・その際、「知らなければいけなかったこと」、「解法のプロセス」を言葉にしてノートに書く。
・ひと通り終えたら、再度解き直す。解き直す際は、正解を選べたかどうかではなく、先ほどノートに書いた「言葉」が頭に浮かぶか、頭に浮かびその通りに問題が解けるか、を徹底的に意識する。

3 もう一度『フォレスト』のPart1を読む。
・2で解いた具体的な問題とリンクさせるよう意識します。

4 『フォレスト』のPart2の例文を読み、不明点をなくす。
・すべての例文で訳がわかり、含まれている文法ポイントがわかれば十分です。
・ややこの段階が辛い、という方は例文をすべてノートに書きながらなんとか理解しようと努めましょう。


ここまでが新規の学習です。
『超基礎がため』の分野ごとに以上の学習を行います。


復習について。

復習は毎日行うこと。
基本的には前日の復習を行ってから、新しい単元に入ることにします。
復習では、昨日の問題を見て、ノートに書いた言葉が浮かぶか、を考えます。
浮かばなかったものはもう一度新規の学習と同様のプロセスを踏み、できるまで繰り返しましょう。



フォレストPart1の内容が具体的な問題と結びついて理解でき、
すべての問題が「解法のプロセス」が頭に浮かんだ上で解けるようになったならば次のStepへ。


(続く)


プロフィール

光塾

Author:光塾
東京大学大学院教育学研究科にて「学習法略」の研究をしています。

「効果的な学習法は人によって異なる」。この当たり前の事実に、どれだけの人が気づいているでしょうか。

受験業界においては、「勉強法」というものは「法則」というにはあまりにも根拠に乏しく、個別具体的な「俺のやり方」に過ぎないことが多々あるように思われます。

そこで、戦国時代の如く統一されず、受験生を混乱の渦中に陥れている個別具体的な「俺のやり方」の乱立に対し、科学のメスを入れ、「自分に合った学習方略」の発見・選択の助けを行いたいと思っています。

つまり、学習法を科学するのです。

今まで受験業界においては、個別具体的な経験を過度に一般化するに留まり、このような統一的な視点が欠落していたように感じます。

「効果的な学習方略」の選択と、欲しい結果に見合う努力さえあれば、誰でも望む結果に到達することが可能です。

10の努力を100の結果にすると吹聴するような怪しげで奇を衒った方法はここでは紹介していません。

普通にやって、普通に受かる。

そんな方法を、科学的方法論に基づき、解明していきたいと考えています。努力が正しく報われる社会の実現に向けて。



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