光塾の指導ノート(大学受験勉強法)
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英単語学習のあり方 決定版(理論編)
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英単語の覚え方について記述します。

0 現状分析
 
 みなさんはどのように英単語を覚えているでしょうか?
次のような覚え方が主流ではないかと想像します。

・ひたすらノートに書く
・ひたすら音読する
・(赤シートなどで隠して)単語帳を見る


 さて、これらの効果はいかがでしょうか?
おそらくノートに書く、音読するという手法をとった人は、定着率はよいが時間がかかるという結果になるでしょう。
一方、単語を見るという手法を採用すれば、時間はかからないが定着率は低い、という結果となることでしょう。



1 問題提起

 それでは、どのような学習法が、最も時間をかけず定着率がよい、すなわちコストパフォーマンスがよい学習法なのでしょうか?
それを考える上で、従来の単語学習法になかったであろう前提を確認したいと思います。


1)単語学習は短期間の学習で多くのリターンを得られるものではない。
2)単語学習が成績向上に与える役割は意外に少ない。
3)受験生は単語学習に多くの時間を割くべきではない。
4)音声から単語を記憶することが重要である。



 1)単語学習は短期間の学習で多くのリターンを得られるものではない。

 単語学習が実を結ぶのは、おおよそ単語帳を1冊完成させた頃です。というのも、例えば単語帳の100語を新しく覚えたからといって、そのうちの何語が将来読む長文や文法問題に出現するのでしょうか?1冊の単語帳に含まれる1500語なら1500語を覚えきって初めて、単語帳で覚えた単語、が見えるようになってきます。
 以上のことから、単語学習は長期的な視野で取り組むべきものであり、1冊を終えて初めてその学習の効果が出始めるということが明らかとなります。


 2)単語学習が成績向上に与える役割は意外に少ない

 また、多くの文法問題は単語の意味は問題とはなりません。文法問題はまさに文法事項が問われるからです。基本的には構文が正しくとれ、文法のポイントさえ見抜ければ正確に解くことができます。
 さらに長文中で正しく日本語訳がわかっていなければならない単語は非常に少ない。というのも、長文は意味をもった文の集まりです。揺れ動く単語の意味は、文脈という糸に引っ張られひとつに決まるものです。
中学履修単語や高校基礎単語のような知っていることが前提となる単語なら別ですが、それ以上の学習になると、単語学習自体が成績を著しく向上させるものではないことがわかります。



 3)受験生は単語学習に多くの時間を割くべきではない。

 これが語られなかった最大のポイントです。受験生は英語学習というとすぐに「単語と文法」と言い始める。しかしながら、上記のように単語学習は少しの間取り組んでもリターンは非常に少ない。一日に2時間も3時間も単語学習ができるような受験生は存在しない、と断言します。つまり、それ以外にリターンを生む学習があるはずだ、ということです。
 英語であれば、例えば文法問題は解けば解いた分だけすぐに力になります。入試で問われる文法ポイントはせいぜい200-300程度。今ひとつの文法ポイントを正しく記憶したとして、1/200を終えたことになります。一方単語はどうだったか。分母が圧倒的に違うのです。
 英語以外の科目はどうでしょうか?英単語に2時間も割くよりは他科目を学習したほうが遥かによい場合が多いでしょう。古典文法、数学の基本問題等はリターンが大きい。苦手科目から逃避する手段として単語が利用されている場合は少なくないように思います。
 特に、書く学習を行う人は単語に時間をかけすぎる傾向があります。ノートの1列にせっせと単語を書いていく。一概に悪い方法とは言えないのですが(詳しくは後述)、他の学習とのバランスを考えて単語学習を行う必要があります。


 4)音声から単語を記憶することが重要である。

 単語を見るだけで学習し、発音を気に止めない人もいるでしょう。このような学習法は次のような点で改めるべきです。
 単に、センター第一問に代表されるような発音問題が解けない、ということを言っているのではありません。もちろん、単語を音声から学ぶことでセンター第一問は特別の対策をしなくても満点がとれるようにはなりますが、音声から学ぶことの恩恵はこれだけではありません。
 我々は、入試本番でどのようにして単語の意味を想起するのでしょうか?例えば次のような例を考えてみます。


Scientific advances and ingenuity are giving hope to some that they will be able to put off their own ends...


 入試本番で以上のような文章が出題されたとしましょう。これをみなさんは頭の中で音読するはずです。
「サイエンティフィック アドバンシィズ アンド インジェニューエティ…」と頭の中で発音するわけですが、ここに意味想起のプロセスがあります。

つまり我々は、


文字情報→意味


というプロセスでは不十分で、


文字情報→音声情報→意味 


というプロセスを踏んで、文字から意味を想起しているのです。意味を想起するまでに、音声情報を挟むことになります。

 とすると、文字→意味だけで覚えている人は入試本番で次のような状態になりやすい。

「ingenuity、インジェニューエティ、インジェニューエティ、えっと…見たことはあるんだけど…なんだったかな…?」

見たことはあるけど、思い出せない。このような症状の受験生は多いはずです。一方、音声情報を噛ませて単語の意味を記憶している人は、頭の中で音読した瞬間に、意味が想起できるようになるのです。

「ingenuity、インジェニューイティ工夫・創造性!」といった具合です。音声と意味が連結しているため、想起が容易くまた瞬間的に思い出すことができるのです。

 最近、市場に出回る単語帳はほとんどがCD付きとなりました。しかしながら、CDをどうやって、何のために、利用すればよいのかわからない受験生は多い。それは受験生が悪いのではない、と僕は思います。こうしてCDを利用する理由と方法について語られることが従来なかったからです。それらがなければ、CDは部屋の片隅においやり単語帳とにらめっこするだけの学習になるのは、僕は仕方がないことだった、と思います。
 CD付きの単語帳を販売する人間、ないしそれを教材として生徒に与える教師は、CD利用のWhyとHowを明確に示す責任があるでしょう。「CD付きが流行りだから」「なんとなく付いていたほうがいいから」は理由になりません。「生きた英語を学ぶには云々」というのならばHowを生徒に明確に示す必要があります。

 彼らの代わりに、僕がここで答えることとします。

音声学習によって得られる単語と結びついた音声情報は、単語の意味を想起するための重要なプロセスの一つを担っているから。媒介された音声情報は、試験本番での想起を容易にし、「見たことがあるのに思い出せない」というありがちな症状に対する最善の薬となる。

これがWhyに対する答えです。




 では、以上1)~4)を踏まえた上で、単語学習の方法、すなわちHowについて考えてみましょう。
長くなったので稿を改めて。早く続きが読みたいよ、という方は下の拍手やTwitterなどで教えてください。なるべく更新速度を高められるよう、努力します。

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プロフィール

光塾

Author:光塾
東京大学大学院教育学研究科にて「学習法略」の研究をしています。

「効果的な学習法は人によって異なる」。この当たり前の事実に、どれだけの人が気づいているでしょうか。

受験業界においては、「勉強法」というものは「法則」というにはあまりにも根拠に乏しく、個別具体的な「俺のやり方」に過ぎないことが多々あるように思われます。

そこで、戦国時代の如く統一されず、受験生を混乱の渦中に陥れている個別具体的な「俺のやり方」の乱立に対し、科学のメスを入れ、「自分に合った学習方略」の発見・選択の助けを行いたいと思っています。

つまり、学習法を科学するのです。

今まで受験業界においては、個別具体的な経験を過度に一般化するに留まり、このような統一的な視点が欠落していたように感じます。

「効果的な学習方略」の選択と、欲しい結果に見合う努力さえあれば、誰でも望む結果に到達することが可能です。

10の努力を100の結果にすると吹聴するような怪しげで奇を衒った方法はここでは紹介していません。

普通にやって、普通に受かる。

そんな方法を、科学的方法論に基づき、解明していきたいと考えています。努力が正しく報われる社会の実現に向けて。



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