光塾の指導ノート(大学受験勉強法)
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百ます計算から始まる、彼女と数学の6ヶ月間。-高卒順位30位までの軌跡-

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百ます計算から始まる、彼女と数学の6ヶ月間。
-高卒順位30位までの軌跡-





またもや河合記述模試から。



今回の生徒は、芸大志望の浪人生。

第2回河合記述模試の成績と、生徒の実感から思ったことを書いてみたいと思います。






前提として

彼女は音楽科だったので、一般的な高校に比べれば、遥かに数学の時間は少なかった。

現在、多くの進学校では、週に6-8時間程度数学が行われているはずだけど、彼女の通う高校では週3時間程度だったそうだ。


浪人してから一緒に数学を学習し始めたのだけれど、ほぼゼロから学習を始めました。

とりあえず、数学に関する前提はこんなところ。





結果

そんな彼女の河合記述模試の成績はどうだっただろうか?

なんと、数学で全国順位で3桁、もっとキャッチーな成績を言うと、高卒生順位では30位という結果だったんだ。彼女が受験する大学が要求するレベルを考えると十分すぎる成績でした。うーん、すごいね。


本当に高校内容については、ほとんどゼロから始めて、6ヶ月ちょっと。

いったいどうやってここまで辿り着いたのだろうか?ちょっと気にならない?


もちろん、彼女が慣れない数学にもかかわらず必死で頑張ってきた、という事実は大きく貢献しているのだけれど、今日はその頑張りをどのように形にしたのか、どんなルートを歩いたのかという部分に焦点を当てて考えてみます。


彼女を始め、多くの指導した生徒達からのフィードバックと、自分が専門としている教育学(特に認知心理学)の知見からおおよそ外さない学習方法というものが見えてきました。それをちょっと簡単に書いてみたいと思います。






数学学習のアウトライン

数学学習については、以前からStepで述べている通りなんだけど、それの補足をここでは記述することにします。


特に、受験生の間ではあまり共有されていないであろう考え方につき、強調しておきます。ではその考え方とは?

 

本当にゼロからやるなら、いきなり過去問、入試問題はアウト

どの合格体験記(体験だよ!)なものや、受験勉強法(法則と言えるかは疑わしい)を扱った本を読んでも、「まず過去問から」とされていることが非常に多い。


そりゃ、キャッチャーだよ。

普通は下から順にやるんだから。

「基礎やって、教科書やって、発展問題やって、やっと過去問」って進むのが一般的だもんね。

突然「ゴールから逆算するんだ!」って言われたら飛びつきたくなるのもわかる。



ゴールから逆算して、本番での得点の方法を考える。

例えばセンター数学なら、数と式、2次関数は満点、図形は難しいから8割くらい。確率は年によって難易度が違うから、8-9割を狙おう。


さて、本番で数と式で満点をとるには、センター当日まで後120日あるから…

今月はここまでやって…

とすると、今週は…

ということは、今日のノルマは…


なんていってね。わーかっこいいね。

トップダウン的な処理方法は確かにかっこいい。

スマートで無駄がない。憧れちゃうよね。



でもさ、ちょっと待って。

本当にゼロから始める人に、そんなことができるんだろうか?


例えば、中学時代二次関数でひいひい言っていた生徒が、高校に入学してすぐにセンター数学の過去問を見て一体何が得られるのだろうか?


仮に解説を見ながら、表面的に分析できたとしても、その自称「分析」を普段の学習に活かすだけの力が彼にあるだろうか?


これが非常に愚かしいこと、あるいは無意味であることは容易に想像がつくだろう。

しかし、これこそがまさに受験生の実態なんだ。ぜひ自分の学習を見直して欲しい。


僕の主張は、「結局普通が一番早い」だ。

本当にゼロから始めるのであれば、「普通に」高校数学の教科書や授業を主軸にして学習をしていくべきだろう。

そこで「自分が授業を理解できない」ことの正当化のために、わけのわからない内職や、ピントを外した独習をしないこと。


授業が理解できないのであれば、授業を理解するための努力をすること。

中学時代の学習に穴があるなら、それを埋めよう。

簡単な四則演算のせいで解答が理解できないとわかったら、百ます計算がオススメだ。


とにかく、不足を補う努力をすることだ。

ゼロから始めるなら、それが一番早い。言われてみれば、至極当たり前だろう?






彼女の半年間


彼女の話に戻ろう。


彼女の学習はシンプルだった。

まず、計算に不安があると思ったから普段の学習に計算ドリルを取り入れた。


本当にゼロから始めたため、教科書レベルの問題を収録した参考書を利用し、公式や定理について確認したのち、それを利用する問題の解き方を一緒に考えた。


その内容が理解できているかどうか、教科書傍用問題集で確認し、穴を徹底的に埋めた。


そして教科書レベルの参考書で理解し、運用できるようになった知識を、傾向対策として試験用にアレンジした。


アレンジした知識が、試験という時間的・心理的制約の中で利用できるように、実践問題集を学習した(←今ここ)。


これが、彼女の数学学習の全貌だ。

極めてシンプルだし、それぞれの学習に必然性があるのがわかるだろう。


奇抜な学習法の一つは、この順序をキャッチーに入れ替えるものだ。

先に述べたように、「まず過去問」といった学習法はこれにあたる。


「まず過去問」と言える学習者は、それなりに学校の授業を聞き、宿題をこなし、定期テストでもまずまずの点数が維持できていた受験生に限るだろう。そうでなかった生徒ほど、奇抜な学習法に走りたがる傾向があるように思われる。


いいかい。

「誰も知らなかった魔法のような学習法」なんて存在しない。

情報商材としてネットで5万円くらいで売っている記憶術だって、あんなのギリシア時代から存在するし、記憶について扱った認知心理学の教科書ならどれにだって載っている。


普通にやる。

それ以外に、ないんだよ。


でも、普通の積み重ねは、魔法のように見えるんだ。

彼女の成績を見てくれよ。出発点から考えたら、まるで魔法じゃないか。


その裏には、魔法なんかどこにもない。

彼女自身の泥臭い努力だけがあった。


普通にやって、普通に受かりましょ。



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プロフィール

光塾

Author:光塾
東京大学大学院教育学研究科にて「学習法略」の研究をしています。

「効果的な学習法は人によって異なる」。この当たり前の事実に、どれだけの人が気づいているでしょうか。

受験業界においては、「勉強法」というものは「法則」というにはあまりにも根拠に乏しく、個別具体的な「俺のやり方」に過ぎないことが多々あるように思われます。

そこで、戦国時代の如く統一されず、受験生を混乱の渦中に陥れている個別具体的な「俺のやり方」の乱立に対し、科学のメスを入れ、「自分に合った学習方略」の発見・選択の助けを行いたいと思っています。

つまり、学習法を科学するのです。

今まで受験業界においては、個別具体的な経験を過度に一般化するに留まり、このような統一的な視点が欠落していたように感じます。

「効果的な学習方略」の選択と、欲しい結果に見合う努力さえあれば、誰でも望む結果に到達することが可能です。

10の努力を100の結果にすると吹聴するような怪しげで奇を衒った方法はここでは紹介していません。

普通にやって、普通に受かる。

そんな方法を、科学的方法論に基づき、解明していきたいと考えています。努力が正しく報われる社会の実現に向けて。



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