光塾の指導ノート(大学受験勉強法)
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エンカウントする度にレベルが上がっている受験モンスターの作り方
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今年度から指導を開始した生徒の定期テストに対する取り組みとその結果から学ぶこと。



高2生の女の子
高2生の国公立大学志望の女の子。中堅進学校に通っている。
特に受験について高い意識を持っているわけではない。
今年度頭から指導を開始することになった。


指導前の状況
吹奏楽部で土日も含め毎日頑張っている。それでも勉強はしっかりやっていた。おそらく周囲のクラスメイトと比較して多いほうだろう。それにもかかわらず、クラス平均程度の成績となっていた。単純に努力が報われてはいなかった。


分析をしてみる。
なぜ努力が報われなかったのだろうか。それについて考えてみたい。
何枚かの模試の成績表や定期テストの結果、また質問によって、各教科の導入部分の理解が欠けていることがすぐにわかった。


クラス平均程度となる理由についてすぐに仮説ができた。
平均点しかとれない理由と、平均点もとれる理由である。
平均点しかとれないのは、テスト範囲となっている問題集を漫然と繰り返し、一問一答的な学習になっているからだろう。立ち返る原理原則が存在しないのだ。したがって、少し数値が変わったり、単語が入れ替わったりすると、途端にわからなくなる場合がある。もちろん、わかる場合もある。その不安定さことが、平均点に甘んじている原因であるし、また一問一答的学習法をとっていることを如実に示していた。


一方、以上の学習スタイルで平均点もとれるのは、なぜか。話は簡単である。いくら進学校とはいえ、みんながみんなしっかりと学習をしてくるわけではない。そもそも学習をする習慣がない生徒は論外としても、高2生になると授業についていけない、という生徒が必ず出てくる。そうすると、「勉強する→授業がわからない→勉強する意味がないと思い込む」という図式に陥ってしまう場合が多い。
以上のように、そもそも学習意欲のない生徒はもちろん、最初には学習意欲のあった生徒の何人かも同様に平均以下の点数となる。彼女は辛うじてこういった層よりは上に立っているから、平均点程度の点数はとれるのだ。しかし、一歩踏み間違えればすぐに足元をすくわれるような危険な場所にいることは間違いなかった。


自習をさせる塾?
僕が指導する前は、「個別指導塾」にいたらしい。面談でよく話を聞いてみると、「自習をさせる塾」なのだそうだ。それにしても、勉強量に見合った成績ではなかった。
「自習をさせる塾」の利用についても本人の話を聞きつつ、考えてみた。 要するに、自分で問題をやらせて、解けなかったものについて簡単に解説をする、というスタイルだったそうだ。ここには彼女の努力が報われない大きな原因があったように思う。その原因は、次の2つである。


理解の前提の不足
ひとつには、学習する分野全体の理解が与えられないことだ。彼女が持ち込んでいたのは、おそらく学校配布の問題集である。数学では傍用問題集、英語ではネクステのような文法問題集を考えて欲しい。
授業の形式は、それを一人で解いていき、わからない問題を質問し解説を得る、という形だったようだ。なまじ頭が良いので問題集の一問一問の暗記ができてしまうのだ。ここでは、いつでも立ち返れる原理・原則のようなものが与えられないため、知識が断片化され、同じパターンの問題についても異なった問題に見えてしまう。模試の成績等から立てた仮説は、この塾のスタイルを聞くことで証明された。これこそが、彼女の努力が正確に結果に反映されない一番の原因だろう。


方法論の欠如
ふたつめに、その塾は問題は与えても、方法を与えなかったことだ。高2生が目指すべき目標と手段なんて既に明確である。目標は、授業を活かす前提学力を身につけ、定期テストで高得点を取ること。手段は、科目ごとに異なるが、明確に示すことができるのだ。


それにもかかわらず、知識のない生徒が行う方法を容認し、極めて効率の悪い方法で学習を行わせていたのである。生徒に責任は一切ないだろう。
その塾、ないし彼女の学習方法の問題点は次のような点である。
1) 傍用問題集のみの学習を行い、教科書を利用した学校の授業内容と傍用問題集の学習をリンクできなかったこと。
2) 中学時代の簡単な計算につき、非効率な部分があったことに気づかず、その非効率な方法で問題を解き続けていたこと。
3) リーダーのテスト勉強について明確な方法論がなく、ただ漫然とノートを見返し単語・熟度を覚えるだけという学習を行っていたこと。
4) グラマーについても、授業内容と問題集の内容がリンクしていなかったこと。

大まかな学習方法についての「誤り」は以上のようなものである。
以上を踏まえ、僕の授業は始まった。


指導開始!
明確に示したことは、
1)中学時代の学習を、穴を残さず行う。
2)短期目標としての定期テストには全力で取り組む。
3)定期テスト対策を広げる形で受験対策を行う。しかし本人が意識する必要はない。

ということである。

授業は捨てろ?
確かに、受験と定期テストを分離するような指導もこの世界には存在する。例えば、「学校の授業と受験勉強は違う。テスト勉強なんかしたって入試の点数は上がらないのだから、受験勉強をしろ!それが学校の授業を切り、受験勉強をすることが効率のよい学習である」というものである。
またいつか話すつもりではあるが、ごく一部の人を除き、この論は生徒のエネルギーとコストを台無しにする可能性が高い。真に効率のよい学習は、学校の授業内容を拡張する形で行うべきだ。学校の授業を捨てろ、というのは、多くの場合、「私には学校の授業と受験勉強を繋げるような能力がありません」と吐露しているようなものではないだろうか。


彼女に行った至極単純な指導
さて、行ったことは至極単純なことである。
数学であれば、テスト範囲につき定義、定理、公式についての理解を深め、全体像を示す。標準的な例題を与え演習を行う。学校の授業について予習復習の方法も示した。テスト前には出題される問題集を繰り返し未理解があれば原理に遡って解決した。もちろん、自習の方法も示している。できなかったことが、テスト本番でできるようになる方法である。


英語のリーダーでは授業を大切にさせた。単語・文法において未理解をなくした上で、本文を音読させ、いくつかの重要な構文は暗唱させた。グラマーでは、学校教材として与えられた文法問題集を利用し、点と点を線で結ぶような授業をし、演習をさせいつも同じルールで解けることを一緒に確認した。


いよいよテスト本番である。
クラス平均程度の成績は、どのように推移したのか?


学習の成果
以上のような方略をとった結果、「勉強と結果が結びつかない」、「勉強が辛い」と言っていたクラス平均程度の彼女は、今、英語でクラス4位、数学で3位となった。さらに嬉しいことに、「勉強が楽しくなった」と言ってくれた。よく、頑張ったね。


再現可能性のある点数と、分析可能な失点を!
以前の記事で紹介したように、彼女の点数は再現可能性のある点数の取り方である。原因と結果が正しく結びついた点数をとっている。つまり、方法が変わらなければ、次も同様の点数がとれるだろう。

一方、失点の原因についても分析が容易である。カウンセリングの結果、「試験の形式」に対しての認識を高めておくことで+10点は容易に上がっただろうことは容易に想像ができた。

失点は決して彼女の知識不足や努力不足ではなかった。彼女はテストの問題について、すべての武器を手にいれていたのだ。失点の理由は、配点の低いアクセント問題で最初に時間をかけてしまった結果、最後までたどり着けなかったことだ。しかし、次回のテストはアクセント問題を後回しにすればよいだけのことだ。

原因と結果が結びついた点数の取り方をすると、失点についても「何をしなかったから失点したのか」もわかる。こうして定期テストが学習についてのフィードバックの材料として適切に利用できる。決して点数だけを見て一喜一憂し、机の中にしまってしまうようなテストの使い方ではないのだ。これはもちろん模試の扱いについても同様である。



自己分析のツールとしての定期テスト
高校生よ、定期テストを上手に利用しよう。
僕の生徒はこの先の十数回の定期テストに全力で臨み、その度に得点から学習法の正しさを確信し、失点から誤った方向を修正する。その度に学習について完全に近づいていく。恐ろしいだろう?君たちはそんなモンスターと入試で戦うんだ。

テストには全力で挑め。 テストを快不快の材料にして、机の奥にしまうんじゃない。 全力で挑んだやつだけが、テストの得点と失点から驚くほどのヒントを得ることができる。成長ができる。

一方で、定期テストや模試を見なかったことにする、ないしは見ても自分の成長に活かせない人がいる。その一方で、彼女や他の僕の生徒のように、テストの度にパワーアップしていく人達がいる。それは、テストに全力で挑み、やってきた学習・やらなかった学習と、点数の取り方・失い方について時間をかけて考察し、自らの日々の学習にフィードバックしているからだ。


すぐ来月は期末テストだ。今何をすべきなのか、テスト後どうするのか、考えてみよう。




こちらの記事も参考に。
あなたの模試の成績が意味をなさないたった一つの理由

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プロフィール

光塾

Author:光塾
東京大学大学院教育学研究科にて「学習法略」の研究をしています。

「効果的な学習法は人によって異なる」。この当たり前の事実に、どれだけの人が気づいているでしょうか。

受験業界においては、「勉強法」というものは「法則」というにはあまりにも根拠に乏しく、個別具体的な「俺のやり方」に過ぎないことが多々あるように思われます。

そこで、戦国時代の如く統一されず、受験生を混乱の渦中に陥れている個別具体的な「俺のやり方」の乱立に対し、科学のメスを入れ、「自分に合った学習方略」の発見・選択の助けを行いたいと思っています。

つまり、学習法を科学するのです。

今まで受験業界においては、個別具体的な経験を過度に一般化するに留まり、このような統一的な視点が欠落していたように感じます。

「効果的な学習方略」の選択と、欲しい結果に見合う努力さえあれば、誰でも望む結果に到達することが可能です。

10の努力を100の結果にすると吹聴するような怪しげで奇を衒った方法はここでは紹介していません。

普通にやって、普通に受かる。

そんな方法を、科学的方法論に基づき、解明していきたいと考えています。努力が正しく報われる社会の実現に向けて。



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